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いい寝!フォーラム・トップ > Contents > 脳科学から眠りのサイエンスを学ぶ「オレキシンの発見で前進する不眠治療」

脳科学から眠りのサイエンスを学ぶ。良い眠りのためには、眠りの仕組みを学ぶことも大切。なぜ眠りは必要なのか。そして眠りはどうコントロールされているのか。覚醒を制御するオレキシンという物質の発見者であり、睡眠と覚醒の仕組みを巡って最先端の研究を続けている金沢大学医薬保健研究域医学系の櫻井武教授に伺いました。

6.オレキシンの発見で前進する不眠治療

不眠に悩む人は多いようですが、2014年夏には不眠の解消に効果的な新しい薬が登場する予定です。その薬が生まれたきっかけは、私たちの研究グループが発見した「オレキシン」という物質です。

睡眠と覚醒のリズムを整えるには、睡眠と覚醒を切り替えるスイッチばかりでなく、切り替わった状態を維持するためにスイッチをオンにし続ける物質が必要です。オレキシンは、覚醒状態をオンにし続けるために脳内で分泌されている物質(神経ペプチド)です。

オレキシン

オレキシンの分泌に異常があると、眠りにも覚醒にも異常が起こります。

日中の覚醒を維持することができず、場所や時間を問わず突然眠くなるナルコレプシーという病気があります。130年前に見つかった古い病気で長年その原因はナゾでしたが、ナルコレプシーの原因はオレキシンの不足にあったのです。

逆に眠れなくなる不眠では、オレキシンが覚醒のスイッチを押し続けている状態が起こっています。オレキシンを捉えて作用を発揮させる受容体をブロックしてやれば、オレキシンによる不眠が解消できるはず。それが2014年夏に発売予定のオレキシン受容体ブロッカー。従来の睡眠導入剤には翌日頭がはっきりしないなどの副作用がありましたが、オレキシン受容体ブロッカーにはほとんど副作用はないという利点があります。

櫻井武

櫻井武(さくらい・たけし)

金沢大学医薬保健研究域医学系教授、医師、医学博士。
1964年、東京都生まれ。筑波大学大学院医学研究科修了。日本学術振興会特別研究員、筑波大学基礎医学系講師、テキサス大学ハワード・ヒューズ医学研究所研究員、筑波大学大学院人間総合科学研究科准教授兼科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業グループリーターを経て、現職。98年、覚醒を制御する神経ペプチド、オレキシンを発見。睡眠と覚醒、摂食行動、情動などを制御する仕組みの解明を目指し、最先端の研究を続けている。

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